AIが医療や福祉の現場に導入されることで、これまで十分な支援にアクセスできなかった人々にとって、大きな助けになる場面もあるように思います。たとえば、AIによるチャット相談やメンタルケアサービスは、距離やコストといった壁を下げ、必要としている人が早い段階で支援にたどり着くための手段になり得ます。場合によっては、人間よりもAIの方が相談しやすいと感じることもあるかもしれません。
ただ一方で、AIの進歩そのものが人間の精神に与える負荷についても、見過ごせない部分があるように感じています。
この数年のAIの進化は、目を見張るものがあります。仕事や学びの現場では、AIの活用が前提となりつつあり、それに応じて求められるスキルの内容も急速に変わってきているように思います。
もちろん、新しいツールや技術に触れることには楽しさや刺激もありますが、それについていくには相応のエネルギーが必要です。
あくまで自分の感覚ではありますが、スキルというのは単なる手段ではなく、自分自身を形づくる要素のひとつだと感じています。たとえば、「この仕事が得意だ」「この能力で人の役に立てている」と思えることは、自分自身への信頼や安定した自己認識につながっている気がします。
そういう意味では、AIの進展が社会全体をより不確実性の高いものへと変えている側面もあるように思います。もちろん、不確実性の増大はAIだけのせいではなく、グローバリゼーションや価値観の多様化など、他の要因も絡んでいると思いますが、AIがそのスピードに拍車をかけているのは確かかもしれません。